ペットフードで犬猫が大量死!成分偽装の実態とその後の中国の動き

食品偽装被害

平成19年(2007年)の3月、米国やカナダで犬や猫が次々に腎不全にかかり死んでいく、という痛ましい事件が起きました。私が初めて家に連れて来た猫達がまだ生きていた頃の事です。

 

そして当時の私は「安全性」「有害物質」などに全く無頓着でした。

 

ですからその当時事件の事は何も知らず、また、店頭で販売されているペットフードに何の疑問も持たずに過ごし、当時飼っていた全ての猫をこの事件後に病気で亡くしました。

 

そして事件から約10年が経ち、事実を知り、自分があの子達にしてしまったことを心から悔やんでいます。

 

ですが、今あなたの目の前にいるワンちゃんや猫ちゃんは、あなたが知識を持ち、行動することで免れることができます。

 

こちらのページでは、平成19年(2007年)に米国を発端として起こったペットフードの大規模リコール事件と、その後も続くペットフードだけで止まらない「食品」の安全性の軽視についてご紹介いたします。

 

あなたの愛する犬や猫に与えるペットフードの安全性を考えるきっかけとなれば幸いです。


犬と猫の腎不全の原因はペットフード!その後乳幼児にまで被害が拡大

食品成分偽装の被害は犬猫だけでなく乳幼児にまで

犬や猫が患った腎不全の症状は、食欲不振や無気力、気分の落ち込み、吐き気、下痢、突然の喉の渇き、頻尿などになります。

 

そしてその原因が後にペットフードだったことが判明し、大規模なリコールが行われることになりました。

 

[有害物質が検出されたブランド]

  • ナチュラペットプロダクツ(イノーバ・EVO)
  • ロイヤルカナン
  • ヒルズ(サイエンスダイエット)
  • P&G(アイムス・ニュートロ)
  • ネスレピュリナペットケア
  • ナチュラルバランス
  • ナチュラルライフ
  • ウォルマート
  • ダイヤモンド等90社200ブランド

 

リコールが200ブランドにまで及んだ2つの理由

 

リコールが200ブランドにまで及んだ理由の一つは、米国のペットフードメーカーの多くが自社工場を持たず、同一の企業、カナダのメニューフーズ社(Menu Foods)に生産を委託していたことによります。

 

「成分」含有量はブランド(商品)によって違いがありますが、使われた材料は同一の物であったということですね。

 

そしてその後、自社工場を持つロイヤルカナンでもリコールが発生しています。

 

それはメニューフーズ社(Menu Foods)と同様に、中国産の材料を使用していた事が原因でした。これが2つ目の理由です。

 

いずれにせよ、犬猫大量死の原因は、中国の会社が製造した、メラミンが添加され、また殺鼠剤を含むいくつかの有害物質に汚染された小麦グルテンと米タンパク質だったのです。

 

ペットフードを食べて死亡、または病気になった犬や猫の数

 

ペットフードを食べて死亡した犬と猫は、「農林水産省 ペットフードの安全確保について(中間とりまとめ)」によりますと、米国内で犬が2,200匹、猫が1950匹とされています。

 

また、ネット上には亡くなった猫2,527匹、犬2,365匹、病気を患った犬と猫の総数は14,750匹との情報もありますが、いずれにせよ数え切れないほど多くの犬や猫が被害を受けた、ということは事実です。

 

なおアメリカでリコールがかかったペットフードの一部は日本にも輸入・販売されており、正規代理店経由で流通したペットフードについてはリコールが実施されました。しかし並行輸入されたペットフードについては回収がなされず販売が続いているとし、平成19年5月7日に農林水産省から注意喚起が行われています。

 

そして私はその当時、リコール対象のブランドを販売するメーカーのリコール対象外の正規品を食べさせていました。そして3匹のうち1匹を約2年の闘病の末2009年に腎不全で亡くしています。

 

メラミン添加による被害はペットだけでなく、乳幼児にまで

 

中国の小麦タンパクと米タンパクを製造したそれぞれの会社がメラミンを添加した理由は、たんぱく質含有量を多く見せかけるためのものでした。ですがペットフードのメラミン汚染については、日本のメディアでは大きく取り上げられることは無く、記憶に無い方が多いと思います。

 

しかし、翌年の平成20年(2008年)9月13日に中国で起こりましたメラミンを混入した粉ミルクにより、5万3000人もの乳幼児がぼうこう結石と腎不全となった事件については覚えている方もおられるのではないでしょうか?

 

この時も、生乳中に含まれるタンパク質含有量を多く見せかけようと偽装したために起こりました。

 

そして中国では、死亡した赤ちゃんが6名、手術を受けなければいけなくなった赤ちゃんが10名、そして後遺症に不安を抱えて生きていく運命となった赤ちゃんが5万3000人となったのです。
(※2009年11月24日付の中国通信社によると、病気となったのは30万人余りとされています。)

 

さらに前年に起こった北米でのメラミン混入騒動中には、家畜の飼料にメラミンが添加されていたこと、アメリカだけでなく日本でも汚染された乳・乳製品・卵・肉・魚・食品添加物などが人の食用として流通していたことがわかっています。

 

丸大食品株式会社(大阪府高槻市)が、同事業者の中国の子会社が製造する一部の商品で、その原料に、中国において化学物質メラミンが検出された中国の乳業メーカーが製造する牛乳を使用していることが確認されたとの情報を入手しました。

 

引用元:「中国産牛乳が使用されている食品に対する農林水産省の対応について」農林水産省

 


 

我が国及び諸外国においても、中国産の乳・乳製品及び食品添加物、またそれらを使用した食品からメラミンが検出されているほか、中国産の卵・卵製品からもメラミンの検出が報告されています。

 

引用元:「中国における牛乳へのメラミン混入事案に関する情報について」内閣府 食品安全委員会

 


 

米国で中国産コメ濃縮たん白にもメラミンが混入 し、これらが鶏及び豚の飼料に用いられた事例が判明しました。

 

これまでのところ、国内では、中国産小麦グルテン等を含む製品が原因となったペッ トの健康被害や中国産小麦グルテンを飼料原料とした事例について報告は受けておりま せんが、中国産コメ濃縮たん白については、1社が養殖魚用飼料に使用した実績が確認されました。

 

引用元:「中国産植物性たん白の飼料への使用について」農林水産省

 

 

ペットフードの時もそうでしたが、日本国内にメラミンが添加された食料が流通している、気を付けて下さい、などといった報道の記憶が無いのはなぜでしょうか?

 

混乱を避けるためか、企業を守るためか、いずれにせよ私たちにとっては不利益なことです。

 

そして私は猫たちを守る2回目の、そして最後の機会を失ったのです。

 

それにしても、そもそもメラミンとは何なのでしょうか?何の為に添加されていたのでしょう?

 

そこからは食品の安全性が軽んじられている中国の現状が見えてきます。


たんぱく質含有量偽装に使われたメラミンとは?なぜ添加されたの?

食品成分偽装はなぜ行われたのか?

メラミンは粉末状で保管され、ホルムアルデヒドと反応させると食器や接着剤に使用されるメラミン樹脂の主原料となる化学物質になります。

 

食品添加物ではありません。

 

また、安全データシート(SDS)の危険有害性情報によりますと次の健康被害を受ける恐れがある化学物質になります。

 

  • 飲み込むと有害のおそれ
  • 眼刺激
  • 長期又は反復ばく露による膀胱、腎臓の障害のおそれ

引用:SDS 昭和化学株式会社

 

ですが、「長期又は反復ばく露による膀胱、腎臓の障害のおそれ」の記述については、2007年と2008年に起こった上記の事件以降付け加えられたものになり、それ以前は強い毒性はないとされていました。

 

「事実」が無いと有害とは認められません。また、公に報道されるまでには随分タイムラグがあります。

 

これはどの化学物質でも同様のことです。不安感をあおるだけの情報を鵜呑みにしてはいけませんが、猫だけでなく、家族全員の健康を守るためには、新しい情報を常に得られるようにアンテナを広げておく必要があります。

 

メラミンでたんぱく質含有量偽装ってどうしてできるの?

 

メラミンは尿素から合成され、窒素の割合が非常に高い物質です。

 

また、食品中のたんぱく質量の測定には、たんぱく質に窒素化合物が必ず含まれることに着目し、窒素化合物の含有量より食品中のたんぱく質量を計る方法(窒素定量換算法)が取られているため、偽装に使われたのです。

 

なぜ偽装する必要があったの?

 

中国では生乳の増量目的で水が加えられることが多発していたため、たんぱく質含有量によって「本物の生乳」かを見極めることにしたのです。

 

しかし結果は上記のとおり、水で薄められた生乳にメラミンを添加し、窒素の含有率を上げる方法が取られたのです。

 

いたちごっこですね。

 

ちなみに、最初に発覚した三鹿社の粉ミルクだけでなく、自分自身の牛乳は安全だと言っていた中国大手の豪牛、伊利、光明などのブランドの液体牛乳からもメラミン樹脂が発見されているだけでなく、2009年には再度メラミン入りの粉ミルクが出回っています。


メラミン添加は中国での公然の秘密 食器からの溶出は日本でも秘密に!?

メラミン溶出は秘密

中国紙「南方日報」は、メラミン添加による成分偽装は”公然の秘密”だと報じており、また、広東省の飼料業界関係者は、「少なくとも5年前から始まっていた」と証言しているようです。

 

とすれば、2003年頃から既に世界中に流通していた可能性があります。

 

徐々に濃度が上げられて(本来の材料の比率が下げられて)いったのでしょうか?

 

いずれにせよ、中国ではよくあること、のようです。

 

以前より「中国産」の安全性が問題視され続けていますが、以上の事からも、原料に中国産を使用しているキャットフードは私はお勧めできませんし、我が家の猫たちに食べさせることはありません。

 

なおメラミンを摂取する機会は、食器からもあるのだということをご存知でしょうか?しかも日本の食品安全委員会ではヒトには問題が無いとしています。

 

メラミンは食器からも摂取してしまうってこと、ご存知ですか?

 

メラミンは前述しましたとおり食器などのプラスチック製品として使用される化学物質になります。

 

そして2008年10月9日付の食品安全委員会から出されている「メラミン等による健康影響について」に下記の記述があります。

 

不正に混入されていなくても、食品 から微量のメラミンが検出される場合がある(2008 年 WHO1)) 。

 

メラミン樹脂 製食器からのメラミンの溶出量は、沸騰水を入れ 30 分間放置の条件で 0.08 ~0.29ppm と微量である(1972 年佐藤ら 3))。

 

 

1972年にはメラミン樹脂で作られた食器よりメラミンが溶け出していることがわかっているにも関わらず、メラミン樹脂の食器は現在も製造・販売され、給食用の食器としても使用されているのです。

 

当然ペット用としても販売されています。

 

なお食品安全委員会は、「これらに起因するメラミンは、今回の中国の乳幼児等でみられたような健康被害が発生する量ではない。」としております。

 

 


犬や猫、乳児の死亡はメラミン単独の毒性ではない

単独より複数での毒性

実は、今回の犬猫大量死や乳児の死亡については、メラミン単独の毒性では無いことがわかっています。

 

逆に言いますと、メラミン以外にも複数の有害物質が小麦タンパクや米タンパク、生乳に含まれていた、ということです。そしてそれらが体内で化学変化を起こし腎不全を引き起こしたと結論付けられました。

 

メラミン以外に含まれていた有害物質の詳細については次回ご紹介させて頂きますが、化学物質の毒性を決める時には”単独”で評価が行われます。それは農薬でも食品添加物でも同じです。

 

そして後に複数の化学物質が影響し合い、体に害を与えることが判明し、その組み合わせにならない方法が取り決められるのです。

 

危険なのは”中国産”だけではありません。

 

 

最後まで読んで頂きありがとうございます。あなたの傍にいる犬や猫が、できるだけ長く健康にいられますように。